
岐阜県土岐市のイオンモール土岐オープンを控えて、土岐市の魅力をバトン形式でつないでいく「ココトキ」!
今回は、大人気となった美濃焼のふるさと納税返礼品を実現させた立役者・陶磁器卸商業協同組合の安藤浩市理事長にさらなる美濃焼の普及について聞いてみました!

美濃焼の魅力を
ふるさと納税の返礼品で広く発信
ふるさと納税返礼品に美濃焼を使うことで、どんな普及効果があったんでしょうか。
「ふるさと納税の申し込みが多かったということももちろんですが、『美濃焼を購入してもらう』というハードルを返礼品という形で大きく下げることができ、より多くの人に美濃焼を手に取ってもらえるようになったことが一番嬉しかったですね。
新しい取り組みだったので、実現のためには、陶磁器卸商業協同組合の協力の元、窯元さんや陶芸作家さんに広く声掛けをするなど苦労したこともありましたが、 窯元さん、陶芸家さんからも、『注文が増えて励みになる』という声をいただいたことは忘れられないですね。」
手に取ってこそはじめて分かる美濃焼の魅力
インターネットやSNSの普及で、スマホやPCで様々なモノを手軽に見て購入できるようになりました。でも、安藤理事長は、美濃焼に関していえば、『実際に手に取ってみてもらってこそ、真の魅力が伝わるもの』だと話します。
「もちろんインターネットが悪いわけではないですが、手触りや光の映り方で表情を変える質感までは、実店舗でしか体感できません。
さらに、自分の好みの一品を見つけるためには、多くの作品を見て比べられるといいですが、いろいろな作家さんの作品が常に集まっている場所で、実際に気軽に触れられる。そんな場所ってそんなに多くありません。
この秋、新しくイオンモール土岐にできる『TOKI MINOYAKI』はまさにそんな場所ですよね。
ここでは、作家性の高い作品から、使いやすさや飽きのこないデザインにこだわった作品まで、いろんな美濃焼に触れることができますし、作品とお客さんだけではなく、歴史ある窯元から若手作家まで、作り手とお客さんをつなぐ場所にもなってくれると思います。
作家だってお客さんに実際に手に取ってもらって選んでもらえたら、作家冥利に尽きると思います。
また、土岐市の食べ物や地酒など、『地のもの』を合わせて、『美濃焼のある暮らし』を発信できるように売り場を作っていけたらいいな、と思っています。
やっぱりお皿や湯呑などの器って、食べ物や飲み物があってこそ、活きてくると思うんです。TOKI MINOYAKIで美濃焼と食の文化を同時に楽しんでもらえたら嬉しいですね。」
カタチにとらわれない自由な焼き物の未来
器として使われてこその美濃焼。様々な食文化やライフスタイルに合う秘密は、美濃焼の持つ幅広い表現力にあると安藤理事長は語ります。
「日本各地にある焼き物文化には、様式があったり、ある程度デザインが決まっていたりすることが多いです。でも美濃焼って、じつは決まった形や『こうしなきゃいけない』といった決まりがないことが特徴なんです。
だからこそ和・洋・中、どんな食器も作れるのが生産量日本一の秘密じゃないかな、と思っています。こうした既成概念にとらわれないモノ作りの姿勢が美濃焼の歴史として継承されているんでしょうね。
明治期から始まった大量生産の時代とは異なり、現在では各窯元がオリジナルのブランドを発信したり、作家それぞれの個性を出したりして、ブランディングに成功しています。
その結果、美濃焼に付加価値を付けることに成功して、地元産業の活性化にもつながりました。
こうしたオリジナリティあふれるブランドが生まれた背景にも、それぞれが個性豊かに自分たちの思う作品を生み出せる美濃焼の懐の深さがあったからだと思います。」

茶道具から歴史が始まった美濃焼
注目の作家を教えて!
各窯元が自由に自らの美濃焼を表現し発信しているいま、安藤さんが注目する作家さん、窯元さんについて聞いてみました。
「皆さんそれぞれとても魅力的ですが、その中でも今注目している方についてお話ししますと、まず玄保庵の加藤保幸さん。
若手の育成にも非常に力をいれてらっしゃる方で、最近では工芸品やオブジェの作品にも力を入れられています。志野に上絵をつけた彩華錦(いろどりはなにしき)という作品が代表的で、どれも息を呑むような美しさです。
続いて陽山窯の水野雅之(みずのまさし)さん。水野さんは美濃焼のルーツとも言える茶道具を作り続けている作家さんです。 お茶の器しか作らないという強いこだわりがあり、志野や瀬戸黒、黄瀬戸の焼き物を『信長焼』と命名して、美濃焼の普及に力を入れられています。
CHIZAN BLUEや朱赤絵といった作品で、和食器や楽器を模した器などを製作しているのが知山窯の安藤統さんです。自らが作陶をしながらも大量生産の器も作っている窯元です。
作山窯の髙井宣泰さんの作品もシンプルなパステルカラーの器が揃っており、使いやすさと高いデザイン性を両立した魅力があります。
同じ美濃焼を製作する方たちでありながら、美術品として、茶道具として、日常使いとして…と、本当に色々な美濃焼の世界を発信しているので、ぜひ手にとって見て欲しいですね。」

土岐市陶磁器卸商業協同組合 理事長 安藤 浩市 氏
東邦大学(経営学部)卒業。現 株式会社ヤマ吾陶器 代表取締役
土岐青年会議所 理事長、土岐市消防団肥田分団 分団長、
土岐市教育委員、土岐市陶磁器卸業組合 理事長に就任。

