
土岐市に拠点を持ち、自然素材の高級ドライフルーツを自社生産する「多々楽達屋」(たたらちや)。
全国の百貨店を中心に15店舗を展開している、知る人ぞ知るドライフルーツの名店です。
2014年の創業から約8年で急成長を遂げた経緯について、株式会社多々楽達屋の代表取締役の安藤誠さんに聞いてみました!

大量生産の陶器を販売しながら、作陶家として活動していた!
現在ではドライフルーツを販売している多々楽達屋。しかし、もともとは土岐の美濃焼を生産する会社だったのです。
「ドライフルーツ販売をする前は、土岐市内に工場を構えて大量生産の美濃焼を販売していたんですよ。そこで空いた時間に作陶をして販売していました。
その当時の工房名が、今の会社名にもなりました。板状の粘土から成形する作陶技法を『タタラ作り』と言うんですが、そこにイタリア語のような軽やかな印象の『〇〇ッチ』を語呂よく合わせて『たたらっち』、そこから『多々楽達屋(たたらちや)』になりました」

売れない蓋物を売るために選んだのがドライフルーツだった
作陶家として休日に活動をしていた安藤さんは、さまざまな場所で作品を販売していました。そこで売れない商品を売るための秘策として選んだのは・・・?
「作ってもなかなか売れない商品があったんですよ。蓋物(ふたもの)っていう、梅干しなどを入れる保存容器なんですが、これが本当に売れなかった(笑)
そこで、この蓋物に何か入れてセット販売したら売れないかな、って考えてね。ただ販売していた場所が『土岐美濃焼まつり』や『せともの祭』など、夏に炎天下でやるようなイベントばかり。
そうなると『常温で長期保存ができる商品』しか入れられません。さらに器を美しく見せるためには彩の良い食べ物ということも重要でした。そこで思い浮かんだのがドライフルーツ。 蓋物にドライフルーツを入れて販売したことが、今の多々楽達屋の原点ですね」
当初の販売方法は失敗に。作陶家として縁のあった百貨店から火が点いた!
蓋物を売るために仕入れたドライフルーツ。ここでドライフルーツが人気になって口コミなどで広まったのかと思いきや、実はこのドライフルーツの販売方法は失敗に終わってしまったんです。
「この蓋物とセットのドライフルーツ販売は、結論から言うと1日で辞めちゃったんです(笑)
お客さんも中身のドライフルーツは欲しいけど、蓋物はいらないって人が多かったんです。
仕方ないからドライフルーツだけ売るじゃないですか。しかもその時点で大量のドライフルーツを仕入れちゃったもんだから、次の日からドライフルーツを単品で売るようになりました。
そんなことをしているうちに、『百貨店で作品を販売してみませんか』と、作陶家としての仕事にお声がかかったんです。
自分の作品を百貨店で販売することになり、担当者との雑談する中で「ドライフルーツも売ってるらしいね。それなら地下の食品催事場で販売してみない?」って言われたんです。
こうしてドライフルーツ販売を百貨店の地下催事場でスタートさせました。今までの陶器販売と作陶活動に加え、ドライフルーツの販売を行うことになったんです。 そしたらなかなか売上が良くて、徐々にドライフルーツにかける比重が大きくなっていきました。

「砂糖の入ってないドライフルーツを」の声を受けてブランド化へ!
ひょんなことから始まったドライフルーツ販売は、これまたひょんなことから百貨店の地下催事場への出店につながりました。そこでお客様の要望に応えたいと思ったことと、不意にかけられた何気ない言葉に奮起したことから、多々楽達屋はブランド化へと舵を切ります。
「ドライフフルーツの売上は好調でしたが、当時はドライフルーツを仕入れて販売するという業態でした。
そこで、きちんとブランドとして確立することの必要性について考えはじめましたのですが、ちょうど同じようなタイミングでお客様から『砂糖不使用のドライフルーツはないの?』という要望をいただきました。
それをきっかけに砂糖を使わずに良質の素材だけで勝負する自社生産へ移行し、安心安全でおいしいドライフルーツづくりに取り組むようになりました。
いろいろなフルーツを片っ端から使って試作を繰り返しましたね。こうして今の多々楽達屋の形になっていきました」
手狭になった工場を市内で移転!従業員あっての事業
ドライフルーツの製造販売が少しずつ軌道に乗ってきたとき、さまざまな問題に直面します。事業拡大のために、広い場所や生産効率の向上が急務となったんです。
「仕入れ販売から自社製造に切り替えたことで、乾燥機を設置したり、品数を増やしたりと、従業員も増えて販売は軌道に乗ってきました。
それで元の工場が手狭になってしまったので、元陶器商社さんの工場を買い取って改装したのが現在の工場です。前の工場から車で10分くらいの場所ですね。
実は、『もっと立地の良い場所に移転した方が良い』と勧める人もいましたが、そこは距離が離れすぎてしまって今の従業員が通えなくなるような場所だったんです。
なので、多少立地は悪くても、当時の場所から距離の近い今の工場を選びました。
だって従業員あっての多々楽達屋ですもん。結果的に誰も辞めさせることなく、工場の移転も無事に済みました」
イオンモール土岐が土岐市の魅力を発信する足がかりに
高級ドライフルーツ専門店として名店の地位を確立している多々楽達屋。土岐市の地元企業として、イオンモール土岐から土岐市の魅力を発信する足がかりになってくれたら嬉しいと話してくれました。
「イオンモール土岐がオープンしたら、今まで土岐市に来なかったエリアの人が訪れてくれると思います。
例えば『土岐美濃焼まつり』のようなイベントで、他の市内の事業者を紹介するのも悪くはないと思うんですが、 イオンモール土岐内の『TOKI MINOYAKI』などの場所で普段から宣伝できると多々楽達屋だけじゃなく、他の事業所にとってもメリットです。
イオンモール土岐を目指してくる方々に、土岐市のいろいろな魅力を知ってもらえたら嬉しいですね。そして、それが休日の過ごし方の候補のひとつになるといいですね。
イオンモール土岐から車で約20分の、多々楽達屋の本社工場でもドライフルーツを直売しています。お買い求めやすい小袋も用意していますので、足を運んでもらえたら嬉しいです」